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小川村の昔話(カッパとあづき洗い)

カッパとあづき洗い

夏になると「川のふかいところにカッパがいて、子どもがはいるとシンノコ(肛門)を、のか(抜)れるので、深い所へは、はいっちゃいけねぞ。」
などと、よく年寄りから、いわれたものだった。
カッパは、水の中にいて、人を深かみへ引きこんでしまったり、シンノコをぬくそうな。

また冬のころは、
「あの沢にゃ、小豆洗いがいるぞ。
チャキ、チャキとないて、生き物の血を吸いとってしまうそうだぞ。」など話されて、夕方など一人でそこを通るのはオッカナかったものである。
昔は便所が家の中になくて、暗い晩でも、用事のときは家の外まで出なくてはならなかった。
そんなとき、“ほら小豆洗いが鳴くぞ”といわれ、耳をすますと、チャキ、チャキと小豆を洗うような鳴き声がきこえてくる。
(声はきこえるが姿が見えない)
その鳴き声から小豆洗いの名が、できたものであろうが、実はその正体はいたち(鼬鼠)であったのである。

いたちは肉食動物で、蛙・鼠・小鳥などをくっているが、獲物を見つけると、かたっぱしから、つぎから次と、いくらでもくい殺して、ものかげなどへかくしておく習性がある。
鶏舎などをねらうと、一夜のうちに数多くの鶏をかみ殺してしまうのである。
それで、おそろしいものだということから、こんな話がうまれたものであろう。

近ごろでは、めったに、いたちもいなくなって、沢ばたの雪の上に、いたちの足あとも見られなくなったし、チャキ、チャキという鳴き声も聞こえなくなった。

(松本史 明治三十六年生れ)

出典:小川村誌[昭和50年(1975)10月15日発行]

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