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小川村の昔話(オトットコイシ)

オトットコイシ

むかし、兄と弟が住んでいた。
兄は目を病んでめくらになってしまった。
弟は達者で働き者であった。
そして兄にはうまい食べ物をくれていた。

ある時、兄は「おれにはいつもこんなに、うまい物をくれるので、弟は自分でどんなに、うまいものを食べているだらず」と思って、弟のねむっているすきをみて、弟を殺して、その胃ぶくろの中をしらべて見た。
ところが胃袋の中にあるものは「あわず(長芋の茎に近い細いところ)などの粗末のものばっかしであった。
兄は自分の浅さましい考えから、兄思いの弟を殺してしまったことを後悔したが、もうおそかった。
弟は自分ではまずいものを食べて、兄にはうまいよい食べ物をくれていたのである。
それを思うと兄はもういても立ってもいられなかった。

そしてついに鳥になって、弟よ悪かった。
申し訳がない。と夜を徹して、喉から血をはきながら「オトットコイシ、オトットコイシ」と叫び続けているのである。とさ。

註:オトットコイシは時鳥のことで、これはこの地方の俗名である。
さみだれのふる頃に夜をついで「オトットコイシ、オトットコイシ」と泣き叫びつづけている。

出典:小川村誌[昭和50年(1975)10月15日発行]

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